id design award 2009(アイディーデザインアワード2009)International competition コンペ公募案内

高橋 亮次さん

id デザインアワード2009 優秀賞受賞者 高橋 亮次さん 


受賞作品名:PAPER-PIPE SHREDDER
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「自分はこの人のデザインだからどうというより、使ってもらう人にとって愛用品として手垢がびっちりとつく程使い込んでもらえるような、それぐらいのものを作りたいと思っています。」と語る優秀賞受賞者の高橋さんに、デザインをする原動力、また、今回の受賞作品がどのように製作されたかを伺いました。
___まず、受賞されたお気持ちをお聞かせ下さい。

まずは、率直に嬉しく、光栄に思います。

『idデザインアワード』は、"商品化を目指す"というコンセプトがあったので、他のデザインコンペとは少し違うなと主催者側の心意気を感じ、それが応募のきっかけでもありました。そういった面白みがあるコンペの作品として、1人のデザイナーというよりも1人の生活者としての素直な気持ちを込めたデザイン提案ができたと思います。

現在はまだ商品化されていませんが、商品化が実現すれば、より実感が沸いてくると思います。

『PAPER-PIPE SHREDDER』
『PAPER-PIPE SHREDDER』

「フォルムの美しさや、実用性、デザインバリエーションの提案など商品化のリアリティも感じられる」と評価が集まった『PAPER-PIPE SHREDDER』

___では、範囲が限定されないフリーテーマの応募で、シュレッダーを選んだ理由を教えて下さい。

以前から、今の市場にあるシュレッダーに対する疑問を持っていました。

デザイン的に魅力的なものはすごくたくさんあるのですが、欲しいサイズや仕様のものがなかったからです。

僕もそうですが、いわゆる"普通"の生活をおくっているだけでも、毎月それなりの量の明細書やハガキが届き、その度に手で細かく破って処理しています。

ですが、手で細かく破るには量が多く、またしっかりと処分したい為にシュレッダーを買おうと思ったこともありました。

とはいうものの、僕のようなあまり広い部屋に住んでいない人にしてみると、ごみ箱の他にもう1つそれと同じくらいの大きさのシュレッダーを置いておくスペースはありませんし、毎日使うほど多くの量も出さないので考えられませんでした。

卓上タイプのシュレッダーもありますが、シュレッダーとしてはサイズが小さくても、デスクの上に置いておくものとしてはサイズが大きい。ただ単に外見のかっこよさではなく、"手で破って捨てる行為の代わりとなるプロダクト"が欲しいと思っていました。

___審査員からも"ありそうでなかったデザイン"と好評でしたが、アイディアが生まれたきっかけはありましたか?

まず、今回のコンペでアイデアを提案するにあたって、食事の席などで身近な友人にシュレッダーに関する意見を聞いてみました。 すると、自分と同じように「シュレッダーってかっこいいけど買えないよね」「もったいない気がする」と思っている人が、ずいぶん多いことに気づきました。

今は大学生でも当たり前のようにクレジットカードで買い物をするし、高校生が自分自身で携帯電話の料金を払ったりもしています。 それなら学生でも買えるくらい、1人に1つ持ってもいいかなと思えるものくらいの手軽なものはないかと、店頭に並ぶシュレッダーの価格帯なども調べました。

ごみ箱と一体となったシュレッダー、卓上タイプのシュレッダー、はさみの刃先がシュレッダーとなっているタイプなどいろいろな種類のものがありますが、多くの人に直感的にかっこいい、カワイイなどと自分の好みのものが選べ、価格としても魅力的になるようなシュレッダーがあればと思いました。

"明細書やハガキを処理するためのみんなが持っている文房具"というようなイメージです。

___環境にも配慮され、実用性、デザインバリエーションの提案にも評価が集まりましたが、どのように構成をして企画したのでしょうか?

自分はこの人のデザインだからどうというより、使ってもらう人にとって愛用品として手垢がびっちりつく程使い込んでもらえるような、それぐらいのものを作りたいと思っています。

今回はクリエイターが思っている素直な思いをカタチにするということでしたが、クリエイターとはいえ1人の普通の生活者です。

生活者として素直な感覚を大切に考えたからこそ、実用性を前提にデザイン作業が始まりましたし、デザインバリエーションがあったほうが、きっと多くの人にとって魅力的に思ってもらえる、好んで使ってもらえると思いました。

製品の外装に紙管を使用したことも、価格面の考慮だけでなく、それらを可能にする最適な手段なのではないかと思ったからです。

また、環境に対する配慮として、製品1つだけを見て"本当に環境に良い"ということはとても難しいことだと思いますが、簡素化されたパッケージの提案や充電電池が使用可能など、小さなところからでも環境に配慮していくことは、今後の製品提案にとってとても重要なことだと思いますので、提案内に盛り込み、全体として今回提案した構成となりました。

___サイズや使用方法に関して、工夫された点はありますか?

大きさとして卓上に置いて場所を取らないこと、机の引き出しにしまえること、これが第一条件でした。

机の隅に置かれたり、引き出しの中にしまった状態で、出番がくるのをじっと待っている。というイメージです。どちらかというと出番を待っている時間が長いプロダクトですので、机の上に置いていて嫌じゃない外観にしようと思いました。

またそれ以外でも、書類がオフィスほど大量に出るわけでもありませんので、明細書だったら3つ折程度にしているものやハガキがそのまま入る大きさで考えました。

___また、第2次審査作品はどのように製作されましたか?

今回やりたかったのが、紙筒を使用したデザインでしたので、まずは自分が欲しいサイズの紙筒を作ってくれる会社を探すことからスタートしました。

インターネットで検索して全国紙管工業組合を見つけました。

事務局は大阪にあるので、関東の工場を紹介してもらい、その中から希望のタイプの紙筒を生産している相模原の工場に直接足を運び、制作を頼みました。

それから、知り合いの工房を持っている人や友達に手伝ってもらって、モックを作りました。製作時間は、募集期間いっぱいで1ヶ月半ぐらいです。バリエーションも作りたかったので時間がかかりました。

主催;株式会社イデアインターナショナル
代表取締役社長  橋本雅治より、トロフィー授与が行われました

主催;株式会社イデアインターナショナル
代表取締役社長 橋本雅治より、トロフィー授与が行われました

___製品となることをイメージしたからこそ難しかった点はありましたか?

僕にはエンジニアリングの知識がないので、理想とするサイズに対して、実現性を考慮する点に苦労しました。実際に既成のシュレッダーを購入して、ドライバーで分解し、自分なりに中の刃の大きさや機構などを研究しました。

あとは多少アバウトではありますが、デザイナーとしての想像で補いました。

欲を言えば、より本体を細くしたいという希望がありますが、商品化に向けてエンジニアの方とつめていければと思います。

他にもやりたいことはまだまだいっぱいあります。たとえば刃の形状などは、切った紙が素敵な形で出てくるなど、シュレッダーで紙を切ること自体が面白くなるような仕掛けも考えています。

___普段は、どのようなお仕事をされているのですか?

平日は企業のデザイナーとして働いています。

また土日と平日の深夜は自主活動をしていて、今回のような提案物から友人に頼まれたイベントのフライヤーやDMなど、楽しみながらいろいろなものを制作しています。

___最後に、デザインをする際、原動力となるものをお聞かせ下さい。

あくまでも現段階の僕の考え方というか気持ちなのですが、友人に頼まれたイベントのフライヤーや仕事としてデザインするものによって、多少原動力は違うと思います。

しかし、いずれにせよ(原動力の)基本となるものは、日常生活で感じた疑問や問題点とその解決方法を考えることだと思います。

様々な行為や行動で感じる不便さ、見た目の違和感などを、「本当にこれが最適なカタチなのだろうか」と疑問、問題点として感じていて、それらを日常の生活の中で、"便利"とか"楽しい"とか"キレイ"とか、少しでもポジティブな方向へ変えていけるのではないかという想いだと考えています。

idデザインアワード2009・トロフィーデザインについて

審査員として参加した佐藤卓氏により、ロゴマークとトロフィーのデザインが手掛けられました。

ガラス製のトロフィー

ガラス製のトロフィー

専用の桐箱

専用の桐箱
フタにはロゴマークの焼き印

トロフィーの底はid デザインアワードのロゴマークが刻まれている

トロフィーの底はid デザインアワードのロゴマークが刻まれている

受賞の証としての意味しか持たない権威的なトロフィーでは、新しい時代のデザイン賞のトロフィーとしては相応しくないと思い、覗き込まないとその意味すら分からない、ペーパーウエイトとして使用できる水滴をモチーフにしたトロフィーを考えました。受賞された方は箱にしまっておかずに、ぜひ机の上に置いて使ってください。

佐藤 卓

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